微男微女

日常の考察

「パンがなければケーキを食べる」人になろう

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」

マリー・アントワネットが言った台詞として有名ですが、調べたところによると、マリー・アントワネット自身の言葉ではないことが判明しているみたいですね。危うく、偽りの歴史を記載してしまうところでした。ググってよかったです。

 

この言葉の趣旨については諸説あるようですが、一般的には、贅沢な暮らしをしている身分の高い人が、庶民はパンが買えずに飢えているという話を聞いて、「それなら(パンより高価で贅沢な)ケーキを食べればいいじゃない」と的外れなことを言った、というような解釈がされているかと思います。

※日本語で「ケーキ」と言っていますが、原文では「ブリオッシュ」です。

 

ただ、もう少し検索してみると、当時のブリオッシュは、今のケーキのような贅沢なお菓子ではなく、「乾パン的な保存食だった」、「パンがない時はパンと同じ値段で買えた」という説や、「ブリオッシュは代用パンとして表現されたものだ」といった解釈も出てきて、結論、何が正解なのかはわかりませんでした。

※ちゃんと知りたい人は専門家、専門書から学んでください。

 

でも、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という台詞が的外れではないと解釈できる可能性があることがわかりました。そして、これが的外れではないとすると、この台詞の趣旨が、文字通り「パン以外の選択肢(=ブリオッシュ、ケーキ)の提示」であると考える余地もあると思いました。

 

さて、ここで問いかけをしたいのですが、「パンがなければ●●を食べればいいじゃない」の「●●」に、あなたなら何を入れますか。

 

今の自分がこの台詞を言うとしたら……私は今おにぎりが食べたいので、「パンがなければおにぎりを食べればいいじゃない」と言う気がします。が、明日になればまた違う答えになっているでしょう。その日に食べたいものを選びます。選択肢はたくさんあります。

 

では、この台詞をまるっと、食べ物以外に当てはめて考えてみるとどうでしょうか。「パンがない」ではなく、食べ物以外の「▲▲がない」という状況に陥ったことは誰しもあると思いますし、今後もそういう状況になることはあると思います。

 

たとえば、私の身近で起こったことを話すと、先日、実家の給湯器が壊れました。「▲▲がない」=「給湯器でお湯を沸かせない」という状況です。両親がLINEで「困った」と送ってきたので、「ヤカンでお湯を沸かせば?」と提案しました。「給湯器が壊れたなら、ヤカンでお湯を沸かせばいいじゃない」ということです。私にとってはごく自然な発想でしたが(なぜなら過去に似たようなことをした経験があるから)、両親にとってはそうではなかったみたいで、その日はお風呂を諦め、翌日から銭湯に行こうと考えていたようでした。私にとっては銭湯に行くという発想がむしろ意外でした。

 

何はともあれ、(早く直せ、という話ですが)選択肢は複数あります。給湯器が壊れることは滅多にないと思いますが、人生において、自分が絶対必要だと思っていたものがなくなってしまうことは、残念ながらあるものです。でも、その際、「パンがない」と落ち込むのではなく、「ケーキを食べればいいじゃない」というように、他の選択肢を考えてみると、解決するかもしれません。

 

給湯器ではなく、もっとわかりやすい、誰もが一度は考えたことがあるような例を言うと、「今の会社が合わないなら、転職すればいいじゃない」などです。あるいは「会社勤めがつらいなら、起業すればいいじゃない」など。

 

ケーキのような「他の選択肢」は、現代の日本においては贅沢なものではなく、「賢さの象徴」になると思います。とはいえ、「給湯器が壊れて自宅のお風呂に入れないなら、銭湯に行けばいいじゃない」という台詞を聞いたら、私の脳内にはマリー・アントワネットが登場すると思いますが……。

 

ちなみに、両親は私の提案通りにお湯を沸かしてお風呂に入りました。そして、翌日には給湯器は直ったそうです。

 

ではまた!

 

きゅうり(矢野友理)