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日常の考察

【読書記録】向日葵の咲かない夏/道尾秀介

道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」を読みました。

 

以前も書きましたが、この方の文章はスッと頭に入ってくるので、本当に読みやすいです。ただ、読みやすいのはあくまで「文章」で……「内容」は……ある意味読みにくかったです。私、怖いのが苦手なので。

 

どういうお話かざっと説明します。

小学生の男の子が欠席したクラスメイトの家にプリントと宿題を届けに行くと、そこでクラスメイトは首をつって死んでいました。しかし死体は消えてしまい、一週間後彼は蜘蛛に姿を変えて現れ、「自分は殺された」と訴えるのです。そこで男の子は妹と一緒に事件を追い始めます。

 

私はこれをミステリーだと思って手に取りました。しかし読み終えた今言えることは、たしかにミステリーではあるのですが、ホラー要素と純文学的要素がかなり強い作品だということです。真相が気になってページをどんどんめくるのですが、そのたびに怖くてゾゾゾッとなりました。また「実際に行動に移すことはないけど、そういう気持ちはわかる気がする」という描写がいくつもあり、自分の中の感情が揺さぶれたり考えさせられたりしました。

 

巧みな仕掛け、構成力、文章力で、作品としては本当に素晴らしいです。ただ、怖いものが苦手な人は少し覚悟が必要かもしれません。

 

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ではまた!

きゅうり(矢野友理)