【読書記録】記憶の果て/浦賀和宏
浦賀和宏さんの「記憶の果て」を読みました。上下巻あり、少し長めです。
主人公は大学進学を間近に控えた安藤直樹。彼の父親が自殺するところから物語は始まります。父親の書斎にあったパソコンに「安藤裕子」と名乗る人工知能があらわれ、会話をするうちに直樹は裕子を好きになっていくのですが、「裕子」は実在していたことがわかり……
いったい「裕子」は何なのか……直樹は関係者を訪ね回り、真実を探っていきます。
ざっくり、そんなお話でした。
本には直樹の心の声が直接書かれていて、それもかなり量が多いです。必ずしも共感できる心情ばかりではないですが、一人の人間の内面を丁寧に追っていく過程は楽しめました。謎が気になるので、長くても最後まで飽きないです。
また、登場人物が「裕子」に意識はあるのかという哲学的な問いに向き合うところや、物語が進むにつれて「裕子」の正体が変わっていくところが面白かったですし、結末にはかなり驚かされました。
唯一気になるのは、父親の自殺の原因など、いくつかの謎が最後まで明かされないまま終わってしまったところで、真相を知りたかったなと思いました。
☆
価格:649円 |
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ではまた!
きゅうり(矢野友理)