【読書記録】爆弾/呉勝浩
呉勝浩さんの「爆弾」を読みました。
これは都民を人質にとる無差別爆破テロに警察が立ち向かうお話で、直木賞の候補作にもなっています。
爆弾の在り処の手がかりはスズキタゴサクと名乗る容疑者が出す「クイズ」のみ。取調室の中でスズキと警察がそれぞれの思惑で会話をしていきます。ボリュームのある本ですが、緊迫感があり、あっという間に読み終えてしまいました。
感想としてまず出てくるのは、「スズキ、むかつく!」です。私は小説の登場人物を好きになることはあっても、嫌いになることは滅多にないのですが、スズキタゴサクに対しては嫌悪感しかないです。
卑屈に見せかけて醜いプライドの塊。発言はそれっぽいことを並べ立てているだけで言い訳ばかり。保身に保身を重ね、都合が悪くなると逃げる。そういう卑劣で狡猾な人間が、テロをおこしながら正義を語っていて、読みながら虫唾が走りました。
一方、スズキタゴサクとやりとりする刑事の一人である類家はすごくかっこよくて、ずっと肩入れしながら読んでいました。
何はともあれ、それだけ感情を揺さぶられる小説だったということです。ミステリーでありながら、純文学っぽさもあり……おすすめです。皆さんぜひ読んでみてください。
☆
価格:1,980円 |
ではまた!
きゅうり(矢野友理)