微男微女

日常の考察

話を聞いただけでわかった気になってはいけない

今日はタイトルにもある通り、「話を聞いただけでわかった気になってはいけない」という話をします。皆さんも「自分にはこういう仕事が合う」と思い込んでいたけれど、実際に働いてみると実は全然違う仕事の方が合っていた、というような経験をしたことがあるのではないでしょうか。話で聞くのと、実際にやるのとでは、全然違います。

 

私も最近、「わかった気になってしまった」ことがあります。

私は幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされてきました。大学生になったくらいからはだいぶマシになり、もうほとんど治ったのだと思っていました。ところが、昨年の夏頃から(おそらくストレスが原因で)急に肌荒れがひどくなり、痒みで集中力も低下、仕事にも支障が出るレベルになってしまいました。これはさすがに何か手を打たなければと思い、皮膚科に行きました。

 

最初の頃は飲み薬と塗り薬を処方されました。特に飲み薬はかなり効果があり、痒みがおさまりました。ただ、だんだん薬を飲んでも痒みがおさまらなくなりました。身体が薬に慣れて効果が薄れたのか、それとも薬が効かないほど痒みが強くなったのかはわかりません。おそらく両方なのでしょう。

 

そこで、皮膚科の先生に相談し、デュピクセントという注射を打つ治療をすることにしました。この注射は1本約2万円とかなり高額なのですが、それでもこれで痒くなくなるなら安い買い物だと思えました。このような経緯で注射による治療が始まり、今も2週間に1回、自分で自分のお腹に針を刺しています(自己注射)。

 

さて、ここからが本題です。注射って痛いですよね。注射を「平気」という人はいても、「好き」という人はいないと思います。身体に針を刺すので、少なからず痛みはありますし、できることなら打ちたくないものです。

 

デュピクセントの注射は2種類あります。シリンジとペンです。私は最初説明を聞いた時、絶対にペン一択だと思いました。シリンジはいわゆる「注射器」で、自分で自分に注射針を刺し、注射液を注入します。一方、ペンは、見た目は筒状のおもちゃみたいな感じで、注射器には見えません。蓋を外して身体に押し付けると、自動で注射液の注入が始まります。やることは、筒状のものを身体に押し付けるだけ。注射針は見えないですし、注入も自動なので、精神的にはかなり楽なやり方だと言えるでしょう。

シリンジで自分の身体に注射針を刺すことの抵抗感を考えると、「ペン一択だ」と思うのも当然のことだと思います。

 

しかし!

この後、シリンジが大逆転勝利します。

 

一番最初は看護師さんがお手本で注射してくれたのですが、結構痛かったんですね。注射針を刺す時は痛くなったのですが、注射液を注入する間が痛かったのです。看護師さんに正直にその旨を伝えたところ、「注入のスピードをもう少し遅くしたら、その分痛くなくなると思いますよ」という返答がありました。

 

その後、自分でも注射してみたのですが、看護師さんの助言通り、注射液をゆっくりゆっくり注入しました。すると、たしかに痛みは軽減されました。

 

ペンは自動で注入されるので、刺すスピードを自分の意思で変えることはできません。注射が本当に苦手で、自分で注射針を刺すなんてとても無理だ、という人はペンの方が良いと思います。でも、私は針を刺すこと自体はさほど抵抗感はなく、痛いのが嫌だっただけなので、自分のペースで注射液を注入できるシリンジの方が合っていることが判明したのです。

 

「ペン一択」から一転、「シリンジ一択」になりました。

 

今も、シリンジで2週間に1回、注射しています。最初は自分で注射なんてできるだろうか、とかなりビビっていましたが、慣れとは恐ろしいもので、今は何のためらいもなく注射しています。

 

何が言いたいかというと、冒頭にも書いたように、「話を聞いただけでわかった気になってはいけない」、「何事もやってみないとわからない」ということです。話を聞いただけでペンを選択していたら、私は今も痛みに怯えながら注射していたかもしれません。

 

自分に合う会社、自分に合う仕事、自分に合う働き方、自分に合うパートナー、自分に合う家……

話を聞いただけで「これが良さそう」と思っても、それはただの思い込みです。もちろん、そうではないこともありますが、世の中には、実際にやってみて初めてわかることがたくさんあります。何事もまずはやってみること、そして、その上で、取捨選択を繰り返し、軌道修正し、より「自分に合う」環境を作っていくことが大切だと思います。

 

ではまた!

 

きゅうり(矢野友理)